天龍寺「多宝殿」

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天龍寺「多宝殿」

読み方

てんりゅうじ たほうでん

建築年

1934年(昭和9年)

建築様式(造り)

建物:入母屋造

屋根:浅瓦葺

その他の特徴:前面に拝堂、後面に祠堂を相の間でつないだ造り。拝堂には正面1間の向拝付き。

所蔵品

  • 後醍醐天皇尊像
  • 歴代天皇尊牌

参拝料


庭園+諸堂参拝料が必要です。

  • 庭園参拝:高校生以上500円/小中学生300円/未就学児無料
  • 諸堂参拝:小学生以上300円/未就学児無料

天龍寺多宝殿はどこにあるの?多宝殿の場所

天龍寺参拝の折に、「諸堂参拝」の料金を支払うと、中に入ることのできる「諸堂」。

この「諸堂」とは、大方丈、書院(小方丈)、多宝殿の3箇所を示しています。

このうち多宝殿は、書院(小方丈)の奥から伸びる、屋根付きの廊下を通って訪れることができます。

屋根付きの廊下は、多宝殿に向かって何段か階段をのぼった後、ゆるやかな上り坂になっています。

多宝殿に向かう途中、右側に祥雲閣・甘雨亭という2棟の茶室を見ることができるでしょう。

祥雲閣も甘雨亭も、諸堂参拝で中に入ることはできませんので、ここで良く見て行くことがおすすめです。

祥雲閣は、千利休が聚楽屋敷に作ったと伝えられる「残月亭」という茶室を模して作られた、千利休ゆかりの茶室です。

甘雨亭は、多宝殿建立にあたって、記念事業として天龍寺の第7代管長であった関精拙老師が建立しました。




天龍寺多宝殿は後醍醐天皇を祀っている祠堂

天龍寺が建立されたのは、1339年(暦応2年)のことです。(落慶は1345年)

開山にあたっては足利尊氏が主体となり、当時国内では最も徳の高い僧であった夢窓疎石が招かれました。

その天龍寺開山の主目的は、足利尊氏とトラブル含みで失意のうちに亡くなった、後醍醐天皇の供養であると言われています。

天龍寺開山にあたっての詳しい経緯や歴史、足利尊氏と後醍醐天皇の関係については、「天龍寺のご本尊はどんな仏様?天龍寺の歴史について・由来など」に詳しく解説しておりますのであわせてご参照ください。

結論から言えば、足利尊氏は後醍醐天皇との争いに勝利したものの、後醍醐天皇の死後はその怨霊に苦しめられ、怨霊鎮めと世相の安定を目論んで天龍寺を建立しました。

そして、天龍寺は現在に至るまで、後醍醐天皇の尊像をお祀りしているわけなのですが、その場所がこの「多宝殿」です。

後醍醐天皇の尊像は諸堂参拝で拝見することができる

多宝殿の奥側にあたる祠堂では、後醍醐天皇の尊像が安置され、鎮魂を祈ってお祀りされています。

天龍寺に後醍醐天皇が祀られたのは、夢窓疎石が足利尊氏に、「後醍醐天皇の霊を祀って、天下に和平をもたらすように」と進言したためと言われています。しかし、この後醍醐天皇像自体がいつ、誰によって作成されたのかは、なぜか伝えられていません。

後醍醐天皇像

  • 素材:木像
  • 像高:124.2cm
  • 作成年・作者:不詳

天龍寺多宝殿の場所や造りは後醍醐天皇絡み!

天龍寺はそもそも、平安時代に檀林寺という寺院があった所を、檀林寺没落後に天皇家が離宮として使用していた場所でした。

この離宮は1255年(建長7年)に後嵯峨上皇が整備し、後嵯峨上皇の息子・亀山上皇が1274年(文永11年)の譲位後、離宮を営んだことで亀山離宮、亀山殿(かめやまどの)、嵯峨殿等と呼ばれていました。

その後、後醍醐天皇が学問所として使っていた場所が、現在の多宝殿の場所であると伝えられています。

また多宝殿の建築様式は、後醍醐天皇が吉野に南朝を営んでいた時代の、紫宸殿の様式をそのまま踏襲し建築されたものです。

後醍醐天皇は、南北朝時代に吉野に王朝を置きながら、執念深く京都の奪還を念じていました。

通常、天皇陵は「天子南面」(皇帝は南向き!という古代中国の風習)の鉄則に則って、南面して造営されるものですが、後醍醐天皇陵に関しては別です。

後醍醐天皇陵は、吉野の地に、京都の方角……つまり北面を向いた状態で造営されています。

これは、

「玉骨はたとひ南山(吉野)の苔に埋まるとも、魂魄は常に北闕(京都)の天を望まんと思ふ」

という後醍醐天皇の遺言に従ったもの。

一方の天龍寺多宝殿は、「天子南面」のとおり、南向きに作られています。後醍醐天皇像も、南を向いて鎮座している形です。

天龍寺の多宝殿は、後醍醐天皇にとって、政権奪還の無念を癒す、彼だけの永遠の紫宸殿なのかもしれませんね……。

ところで後醍醐天皇陵ってどこにあるの?

天龍寺多宝殿はあくまでも後醍醐天皇の尊像があり、後醍醐天皇をお祀りしている場所に過ぎません。

さきの話にあった、「北面する天皇陵」後醍醐天皇陵は、南朝のあった吉野の地に存在しています。

場所は、奈良県吉野町の如意輪寺。浄土宗の寺院です。

如意輪寺の御霊殿には、後醍醐天皇が自作したと伝えられる後醍醐天皇像が安置され、この像は秋に特別公開がされています。

また如意輪寺の境内に、後醍醐天皇陵がひっそりと営まれています。

塔尾山 如意輪寺のお問い合わせ先

住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山1024

TEL:0746-32-3008

アクセス:近鉄吉野駅よりタクシーでおよそ7分

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