【美画像で紹介!】天龍寺の曹源池庭園は枯山水?池と借景と紅葉が見どころの謎めいた庭園

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天龍寺 大方丈「曹源池庭園」【史跡名勝天然記念物】

築庭年

不明
推定:1345年(康永4年/室町時代)

史跡名勝天然記念物指定年月日

1923年(大正12年)3月7日

築庭様式

池泉回遊式庭園

築庭者

夢窓疎石

曹源池庭園の読み方

この「美しすぎる!」庭園は、”曹源池庭園”と書いて少し読みにくい漢字ですが「そうげんちていえん」と読みます。曹源池庭園は天龍寺が、いや日本が世界に誇る、日本初の史跡・特別名勝指定となった庭園です。

この曹源池庭園は天龍寺の本堂にあたる大方丈の裏庭にある庭園です。

今回は、曹源池庭園の魅力と見どころを一挙にご紹介します!

”曹源池庭園”の名前の由来は?

曹源池庭園」って一体、どういった名前なの? と言われるのは無理のないことでしょう。

曹源池庭園の中央に位置する大きな池の名称を「曹源池」と言うのですが、その名前の由来は……

庭園を作成していた夢窓国師が、池の泥を堀りあげたところ、池の中から「曹源一滴」と書かれた石碑が現れた!

という言い伝えによるもの。諸説あり、この石碑は池の泥ではなく、池を作る際に滝の水の中から現れたとも言われています。

曹源一滴とは、「一滴の水は、あらゆる物の根源である」という禅語です。「曹源一滴水(そうげんのいってきすい)」と言われることもあります。

「曹源」というのは、禅の世界では「曹渓の源泉」を意味しています。

「曹渓」とは? 

曹渓とは「そうけい」と読み、これは中国で禅宗の流れを確立させたと言われる、慧能禅師(えのうぜんじ/生638年~没713年、諡を大鑑禅師/だいえぜんじ)のこと。

中国において、禅宗の開祖と言われる達磨大師の教えを受け継ぎ、禅宗として確立したと伝えられる慧能は、曹渓宝林寺(現在の広東省韶関市)に拠点を置き、亡くなるまで布教活動を行っていたと伝えられます。

その後日本にまで伝えられ、信者を増やし広まった禅宗も、元を辿れば「曹源一滴水」、曹渓の一滴の水を源として大きな流れになりました。

同様に、あらゆるモノの根源には一滴の水がある。「曹源一滴」は、これこそが禅の根本であるとも言われる重要な禅語なのです。

曹源池庭園の見どころと特徴「本当に枯山水なのか?」

 天龍寺曹源池庭園は「池泉回遊式庭園」

まず、天龍寺の曹源池庭園の大まかな構造を理解しておきましょう。

曹源池庭園は、「池泉回遊式庭園」と呼ばれる日本庭園の形式に則って作成されています。

池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)は、まず大きめの池を庭園の中心に置き、その周囲に園路を巡らせ、園路を歩くということを前提にして作庭する庭園です。

「日本庭園の集大成」とも言われるこの形式は、室町時代や江戸時代によく作成された庭園で、特に禅宗寺院、江戸大名が好んだと言われます。天龍寺もそんな禅宗寺院の1つと言えますね。

曹源池庭園の他に、桂離宮、金沢の兼六園、六義園など、池泉回遊式庭園の日本庭園は日本各地に見られ、その多くが特別名勝や特別史跡に指定されています。

 3つの借景

曹源池庭園に訪れた際は是非!目の前に広がる池の向こう側の景色をご覧になってください。

よく見れば3つの景色に分けることができて、これら3つの景色を用いて庭園全体に奥行きを持たせています。

  1. 前景(池)
  2. 中景(斜面になっている部分。木々が生い茂っている部分)
  3. 後景もしくは遠景(嵐山)

 なんだってぇ?!「嵐山断層を巧みに用いた唯一無二の庭園」だった??

あまり知られていませんが、なんとぉぅ!嵐山の地形は約2億年前の地殻変動(地面が長期間にわたり少しずつ移動する現象)によってに形成されたそうです。

何が言いたいのかと言いますと、この地殻変動によって保津川周辺の山々と天龍寺の周辺に断層ができました。しかしこの断層は急斜面を生み、さらに砂利(じゃり)を多く含んだ、大変もろい土壌を形成したと言われています。

しかしその反面、今日に見る嵐山の美景を生み出していると言っても過言ではありません。

これがどういうことかと言いますと、急斜面は普通の斜面に比べて斜面が急なため、前面の木々だけではなく、奥に生えている後方の木々たちも全容に近い姿で目視できます。

嵐山の紅葉が特に際立って美しいと評判になるのは、この急斜面のおかげで奥に隠れた木々までもを目視できることが理由に挙げられます。

そしてもうお分りかと思いますが、天龍寺の曹源池庭園は夢窓疎石が室町時代に、この急斜面を巧みに利用して築庭しています。

いったいこの夢窓疎石とは、もぅホントに何者なんでござんしょ。オホ

なお、嵐山に「山桜」や「イロハモミジ」が多く自生している理由は、砂利が多い土壌でも地中深くに根を下ろして土砂災害を防ぐ目的で人の手によって植林されたことや、急斜面と相性が良いことが挙げられています。

 天龍寺・曹源池庭園は「借景の庭園」!

曹源池庭園は、単に夢窓疎石が作成した庭園である……と考え、庭園だけを眺めていてはなりません。

曹源池庭園を見るにあたり、最も気に掛けたいのが「借景の庭園」であるということです。

上述で借景、借景と連呼しましたが、借景とは「しゃっけい」と読み、これは庭園の背景となる遠方の山や谷を、庭園の景色の一部として組み込んでしまう、日本庭園を作成する際のちゃっかり技法。

天龍寺の境内も、大方丈から曹源池を眺めると、その背景に美しい嵐山の全体像が映り込み、それが曹源池庭園の白い砂や池、池の背景となる木々に、上手にマッチしています。

借景庭園を見るときは、「近くだけではなく、遠くにも目線をやって全体像を見る」ことが大切です!

ちなみに嵐山の地形は川(橋)・崖・山がすべて視界に入ります。人はすべての景色が視界に入ると”美しい”と感じるようです。これを角度で分析すると30度になり、これは黄金比で表わすことができるのです。

 ちょっと建物の中から曹源池庭園を見てみてぇん

視界の中に遠景を入れることが、借景庭園を見るポイントですが、曹源池庭園を楽しむ上でもう1つ気に留めておきたいことがあります。

それは、「曹源池庭園は建物の中から楽しめるように作られている」ということ。

曹源池庭園を見られる建物は、諸堂参拝で入ることのできる大方丈と書院(小方丈)の2箇所。庭園参拝の他に、諸堂参拝にも費用がかかる天龍寺ですが、ぜひ中に入ってみましょう。

和風建築の特徴として、建物内に入ると柱や天井、軒や床、さらに広縁の欄干などが視界に入り、これが借景庭園のいわばフレームの役割を果たします。

まるで一幅の絵のように、切り取られた景観が、見る者に、よりワビサビを感じさせてくれるのです。


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曹源池庭園の見方「曹源池の向こう側に注目すべし!」

大方丈から見て、曹源池庭園の正面、曹源池の向こう側には、曹源池庭園を代表する岩の芸術「龍門の滝」があります。

ここは、曹源池庭園で1番といっても良い見どころ。

2枚の大きな岩には現在、水が流れてはいませんが、過去には水が流れていたのではないかと思われる跡があるそうです。

「龍門の滝」は「登竜門」の故事にちなんだもので、鯉が滝をのぼると龍になれるという、その滝を庭園内に再現しています。そして、滝の脇には、この滝を昇ると言う「鯉魚石(りぎょせき)」が配置されています。

龍門の滝と鯉魚石は、実は日本各地に存在していて、有名なところでは金閣寺にもあることで知られています。

金閣寺の龍門の滝には水が流れ、その水の下に鯉魚石が置かれて水を弾いているように、通常、鯉魚石は龍門の滝の真下に置かれるものです。

しかし、天龍寺の鯉魚石は、滝の横に置かれているのが特徴的。

通常の鯉魚石が、これから龍になろうという「鯉の姿」を指し示しているのに対して、天龍寺の鯉魚石は、「今まさに滝を昇っている最中の、龍になりかけの途中の姿」を指し示しているというレアものです!

これらの岩石の他にも、曹源池庭園にはいくつもの石が点在して、奥行き感を出したり、「蓬莱」や「亀」を表したりしていますので、曹源池庭園を訪れる際には「岩、石」に注目して、ぜひ日本一のお庭を楽しんでください!

天龍寺曹源池庭園の歴史ッ!

天龍寺は、1339年(暦応2年)に開山し、1345年(康永4年)に落慶(境内全体の完成)を迎えました。

落慶に至るまでの経緯は「天龍寺のご本尊はどんな仏様?天龍寺の歴史について・由来など」に詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。

この、天龍寺を建築する際に、庭園を作庭したのが、天龍寺の開山である、夢窓疎石その人です。

夢窓疎石は、天龍寺に理想郷としての「天龍寺十境」を再現しようとしていました。曹源池庭園は「天龍寺十境」の1つとして、重要な役割を持っていたのです。

夢窓疎石が理想とした「天龍寺十境」とは?

「天龍寺十境」は、下の10の光景です。

  1. 普明閣
    普明閣とは、現在の勅使門の奥側に建っていたと伝えられる楼閣です。
  2. 絶唱谿
    大堰川(おおいがわ=嵐山からは「桂川(かつらがわ)」に名称が変わる。現在も京都を流れる淀川水系)の清流を指します。
  3. 霊庇廟
    京都市右京区にある神社、「八幡社」。1344年(康永3年)、夢窓疎石(むそう そせきによって創建されたものです。
    境内の碑文に、「夢窓疎石の夢に八幡大菩薩が現れ、天龍寺を守ると託宣があったため、天龍寺の左側(南)に夢窓疎石によって八幡大菩薩が祀られた」ことが明記されています。
  4. 曹源池
    曹源池庭園の池。
  5. 拈華嶺(ねんげれい)
    嵐山の絶景のことを指します。「拈華」の意味は、以心伝心をあらわす禅語。
  6. 渡月橋
    言わずと知れた桂川の橋、渡月橋。承和年間(834年~848年)に初めて架けられたと伝えられています。
    夢窓疎石の言っている渡月橋は、現在の位置よりもう少し上流だったと言われています。
  7. 三級巌(さんきゅうがん)
    嵐山の「音無瀬の滝(戸無瀬の滝)」。
  8. 万松洞(門前の松)
    天龍寺境内の松林。
  9. 龍門亭
    京都の亀の尾山のふもとにあった、嵐山をのぞむ茶亭と言われています。
    2000年には、天龍寺境内の曹源池の南側に、開山夢窓国師650年遠諱記念事業の一環として、龍門亭が再建されています。
  10. 亀頂塔
    かつて、亀山の山頂にあった九重塔。京都市内まで見渡すことのできる絶景ポイントで、現在の嵐山公園内と伝えられています。

なお、この中で現在6カ所が現存していると言われています。嵐山はこれらの景色が近距離で見ることができるスポットです。

「天龍寺十境」はなぜこんな広範囲?

「天龍寺十境」といっても、嵐山全体におよぶスケールの大きさ……なぜこれが「天龍寺十境」なのか? と思われるかもしれません。

現在では、天龍寺の境内の広さはおよそ30,000坪(東京ドームの2.1倍程)と言われていますが、1877年(明治10年)に廃藩置県が行われ上知令が出されるまでは、天龍寺の境内敷地は嵐山、亀山、嵯峨の全エリアにわたる大変広いものでした。

30,000坪と言うととても広いように思われますが、かつての天龍寺の境内は、現在の広さの10倍以上。

その広範囲すべてが天龍寺の境内として、夢窓疎石にとっては「理想郷の素材」であったのです。

そして、夢窓疎石が禅宗的な理想郷を作り上げるにあたり、欠かせない心臓部となったのが「曹源池庭園」でした。

天龍寺の初代管長は「曹源寺」で修行した「滴水」氏だった!

天龍寺の初代管長は、滴水宜牧(てきすい・ぎぼく)師(生1822年~没1899年。別名、由理滴水師)と仰いますが、かれの号となった「滴水」も、修業時代に行った禅問答が元になっていると言います。

滴水宜牧禅師は、修業時代を岡山県の曹源寺で過ごしています(これも、のちに天龍寺の管長となる運命を考えれば、不思議なご縁と言えますね!)。

その折、師匠であった儀山禅師との間で「風呂に入り終えた後の、風呂の水をどうするか」という禅問答が行われました。小僧も含め全員の風呂が終わった後に、水を「捨てる」と答えた宜牧(小僧時代)に、儀山禅師は

「木の根にかけぬとは! 一滴の水も粗末にしてはならない」

と一喝したそうです。

これを教訓に、宜牧は天龍寺管長に就任した後、号を「滴水」とし、「水は仏の御命である。一滴の水も無駄にしてはならない」と伝え続けたとのことです。

曹源池庭園の入園料(拝観料)について

天龍寺では、境内に入るための入場料、入山料といったものは必要ありませんが、曹源池庭園の見学を行うためには庭園への参拝料が必要になります。

庭園参拝料(曹源池庭園・百花苑)

  • 高校生以上:500円
  • 小・中学生:300円
  • 未就学児:無料
  • 【割引】
    障がい者手帳をお持ちの方。本人および介護者1名まで100円引き。受付時に提示が必要です。

※諸堂参拝料、法堂にて特別公開の雲龍図参拝料はそれぞれ別途。

※諸堂参拝を行わなくても、庭園だけ参拝することができます。

こちらでご紹介した入園料などは、2018年6月現在の情報です。
変更になっている場合がありますので、最新情報は公式ホームページなどでご確認ください。

【補足】天龍寺が世界遺産指定を受けた理由とは?

天龍寺=世界遺産として知られていますが、実際には天龍寺は、世界遺産「古都京都の文化財」を形成する重要な1ファクターです。「古都京都の文化財」に含まれるためには、

  • 国宝建造物がある
  • 庭園が特別名勝になっている
  • 特別史跡等、その他の条件

のいずれかに当てはまっている必要がありますが、天龍寺はこのうちの「庭園が特別名勝になっている」に含まれます。

逆に言えば、戦火にみまわれ幾度も伽藍が焼失しているため、天龍寺の境内には国宝建造物がありません。

他に何か、世界遺産の条件として認められるようなものも特にないため、天龍寺が世界遺産に含まれているのはひとえにこの曹源池庭園の存在ゆえと言っても過言ではないのです。

そんな曹源池庭園には、「知らなきゃ見逃してしまう」日本庭園の粋がたくさん存在しています。

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